鍵盤ハーモニカ用の電動ドライバー

鍵盤ハーモニカに使われているネジはΦ2㎜とかΦ3mmとか、ネジとしては小さい部類になります。
こういったネジをよくホームセンターなどで売っている電動ドライバー(家具を組み立てるようなもの)で回すと、外す分には良しとして締めた時にめねじを破壊したりネジ頭を捩じ切ってしまったりします。
そのため、そういう小さいネジのために「精密電動ドライバー」というものがあります。ただ一般的な品物ではないので自分もホームセンターやリサイクルショップなどで見かけたことはありません。

さてケンハモ修理の仕事をするにあたってどうしても電動ドライバーを使わないと効率が上がらないということで、新たに精密電動ドライバーを導入しました。モデルはベッセルのVE-3000というモデルです。なぜか60%OFFという割引になっていたので買ってしまいました。

グリップしやすく総重量もそれほど重くありません。トルクが0.15~1.0Nmと上の値がケンハモ用としては高いですが、他にも使う用途があると思うのでこれで十分かなと。
もう1つトルクの低いVE-2000でもケンハモ用なら十分かも知れません。
精密電動ドライバーを購入する際のポイントですが、スペックとして以下をご覧ください

・トルク

ケンハモのネジは大体0.2~0.3Nm(N・m)位です。ネジ切りのされていない箇所にタッピンねじを入れる場合はもう少しトルクがあった方がいいですが一般的には十分なトルクです。0.1~0.5Nmというものがあると使いやすいです。
なお現在Amazon.co.jpでセールス1位の電動ドライバーの最大トルクが4.5Nm。必要トルクの15~22.5倍もあります!こわれちゃう!

・回転数

1000rpm(1分で1,000回回転する)位あれば必要十分です。600rpmでゆっくりな感じです。

・付属ビット

ビットNo.1とNo.2を使います。面倒なのでNo.1で使いまわすことが多いです。けど実際は1.0Nm程度までのドライバーだとNo.0、No.1のものが付属することがほとんどです。

・その他付属品

アダプターが別売りのものもあるので要チェックです!

・重量

軽い方が取り回しがいいです。設置するならあんまり関係ないですけど……。

・電源

AC100Vが使えるかどうか。工業用なのでプラグ形状が日本のものと違っていたりします。あと電源ユニットがどのようになっているかでかさばったりもするので、必要だったら一緒に確認してください。

・レバースタート/プッシュスタート

それぞれ「ボタンを押すと回転する」「ビットを押し込むと回転する」というものです。ビットを押し込みにくい持ち方(サイドカバーとか)をすることもあるので個人的にはレバースタートの方がおすすめです。

等々、購入もしにくい精密電動ドライバーですが、作業効率は圧倒的に違います。特にリードプレートの取り外し。
一般的に売られているものに比べて圧倒的に高いですが、頻繁に分解する方なら必須だと思います。

ケンハモ調律の必需品、コードレスリューター

ケンハモの調律はほとんどが削り作業となるため、何らかの形でリードを削る工具が必須です。

一般的には棒ヤスリを使います。その他キサゲやノミのような削る工具を使う他、リューターを使うことが増えてきています。
工具ごとに得意なこと、苦手なことがあって特徴を述べると……

〇ヤスリ
・よい点
先端削りがやり易く、リードの一番先端を狙うことが出来る
入手しやすい
先端加工をしてキサゲにすることが可能
・悪い点
根元削りがやりにくい(先端加工でキサゲに出来ると解消はされる)

〇キサゲやノミ
・よい点
根元削りがやりやすい
ヤスリから加工が出来る
・悪い点
工具としては専門的なものになり入手しにくい
加工の場合グラインダーが必要

〇リューター
・よい点
先端、根元の両方に対応が可能で工具の持ち替えが不要
特に根元削りがスムーズに行える
入手自体はしやすい
・悪い点
一般的に高価
削りすぎのリスクがある

という感じで、道具なのでやはり一長一短ではあります。
そんな中でもリューターがおすすめなのは「根元削りがやり易い」これに尽きます。ヤスリだけだと絶望的にやりにくく、ノミやキサゲは手に入りにくいためその代用としてリューターは重宝します。
もちろん先削りも可能なのですが、回転する砥石やカッターを先端の角に当てると滑ってしまうため、やや先端から離れたところを狙わないといけません。そのため削ることだけを考えると先端はヤスリの方が得意ではあるのかなと思っています。
僕はあまり深くリードを掘りたくはないという事情から、先端削りをヤスリ、根元削りをリューターでやることが多いです。工具交換の手間と最先端削りのスピードとを考えると時間は大体同じくらいでしょうか?


使っているリューターはGSIクレオスさんの「Mr.コードレスルーターPROII」というモデル。これには軸付砥石(ピンクのもの)が付いていて、そのままリード調律に使うことが可能です。ただスピードなどの事情からこの軸付砥石を超硬カッター(メタルツクシみたいな奴)に変えて使っています。

以前から使っていたのですが浜松であげてしまったので、そろそろ必要かなと思って注文して昨日Amazonから届いてたのでこれが2代目です。特徴はこんな感じ。
・コードレスなのでケーブルに煩わされない
・軽いので操作しやすいし持ち運びやすい
・コントローラーが別に無く、スイッチも人差し指の場所にあり使いやすい
・一般的なΦ2.35㎜のビットが使える
・トルクが弱く、繊細なリードを扱うのに丁度よい
・値段が手頃(Amazonで3,000円切ります)で、専用工具ではなく模型用品なので電機店でも入手しやすい

という感じです。おススメです。

他にネイルアート用とかのでもいいのかなーと思って色々見ています。少し太めなのでもっと細いものがあると女の人でも使いやすいものがあるのかもと考えています。自分がモデラーなので手に入れやすいルートから買ってそのまま使っている感じです。


手元にコードレスリューターが無かった時は代わりにこういったものを使っていました。一般的な切削には便利なのですがトルクが強すぎることと、トランスを別に付けないといけないのでものすごく重いというのが問題点です。

工具については本当に奥が深く、いろんなところで使えるものが無いかと探しています。彫金工具とかじっくり見ていた時期がありましたね。ヤスリも使いやすい形のものがなかなか見当たらないのであちこち探しまわっています。

鍵盤ハーモニカのレンタルサービス検討中

というのを、ケンハモサイトが立ち上がったらやろうかと検討中です。
レンタル需要というのがどこまであるかは不明ですが、
・調律の具合がどのような感じか確認したい(特に両手弾き用)
・他モデルの音や使い勝手を試してみたい
・本番のためのサブ機が必要、本番直前にリード折れを起こした
・小物楽器として録音に使用したいが購入するのは高いのでレンタルしたい

といったニーズに対応できるようになると思います。レンタル品はきちんと調律と検品をしてお渡しします。

といっても自分の楽器は現在進行形で使っていたり何らかの形で弄ってしまっていたりするので、例えばいつも使っているW-37の貸し出しとかは無理っぽいですけど。
基本的にスズキ製品をメインで使っているので、その他のメーカーのものは余っていたりします。廃番品のメロディカピアノ36やピアニー370Mなんかが目玉でしょうか?あと最新のP-37Eも出せると思います。
他にも純正律でチューニングしたM-32Cとかあるので、そういうのを試してみてもらうのは面白いかもしれません。

レンタル料は1週間2,000円程度が妥当かなと思います。どこが起算日でどこが終了日かという問題もありますけど。
問題は盗難で、あんまり貴重品だとそのまま言い訳を付けられて盗まれるという可能性もある(というかどんな分野でも同じ話を聞きます)ので、そういうものの対策をどうするかといったところです。きちんと約款を設けないといけないなというのが正直な所です。

とは言え出来れば気軽に借りて頂きたいなというのが正直な気持ちです。サービスが開始されたらこちらも調律サービスと合わせてご検討いただきたいです。

鍵盤ハーモニカの調律サービス

現在鍵盤ハーモニカ専門サイトの設立に着手しています。以前取得したドメインをこのサイトと同じサーバーに移行する手続きが昨日完了して、まずは設定関係をやっているところです。
サイト名は「ポール・ナカオの鍵盤ハーモニカ工房」(まだ仮ですけど)、ドメインは「kenban-harmonica.jp」になります。この記事を書いている時点では、URLにアクセスするとこのサイトと同じものを閲覧する状態になっています。別にサーバーを借りるかマルチサイトにするかは検討中です。同サーバーにて別サイトを運営することにしました。現状旧サイトのケンハモコンテンツが閲覧できる状態になっています。

さて、大方予想をしていた人も多いとは思うのですが、ケンハモ専門サイトを立ち上げたら調律サービスを受けようと思っています。今の所構想が7割ほど終わった所です。

●個体条件

1.36鍵以上の鍵盤ハーモニカ
2.メーカー不問。また現行品、生産終了品を問わない
3.全ての音が問題なく発音し、A=442Hz時に-25cent以下になっていない

基本的に大人向けということで、36鍵以上とさせてもらう予定です。もちろんキー数の少ないものも可能ではあるのですが、キー数の少ないモデルの方が難しい面もあることから価格は36鍵以上のものと同じになると思いますし、メーカーの方が安いです。バス他に関しても同様の事情です。メーカーやモデルについては全て不問です。

一番の問題はリード折れの対応が出来ないことです。なのである程度ピッチの下がっているものは近い将来リード折れが起きるものとし、過去の経験からそのボーダーを-25centとして調律を実施するかどうかを判断します。-25centより低い音がある場合は「近い将来折れると思いますが調律しますか?」と伺いを立てて、それでも実施するかそのまま返送するかという選択を取ってもらうことになるでしょう。

折れて鳴らなくなった箇所のある楽器を個人で対応出来ることといえば、リードプレートそのものを交換することのみです。サービスパーツとして在庫が出来るといいのですが、ここは事業が安定してからかなと思っています。プロ用となると高いので……。

●作業工程と料金

作業内容としては
・外観と息もれのチェック
・ピッチとレスポンスのチェック
・分解して内部チェックと汚れの清掃
・調律、オクターブ調整
・検品、外観部の清掃

という感じです。
調律内容で料金を分け、これは3コースを考えています。全て送料別で、依頼者様負担でお願いします。
なおこの価格は変わる可能性もあります。ご了承ください(実際この値段はキツキツです)。

1.基本コース:¥3,000-
メーカー修理と同等です。ちなみにスズキの教育モデルは1,000円、プロモデルは2,000円が基本料金なのでそれよりは高く設定しています。
2.アドバンスコース:¥3,500-
基本コースを行った後にもっと進んだ調整を行います。片手で吹いた時同時に使われるオクターブや5度での波動(うなり)を極力無くす、という方針です。
3.両手弾きコース:¥4,500-
基本コース、アドバンスコースの内容に加え、両手弾きで低い音と高い音を同時に吹いた時の波動(うなり)を無くすように調整していきます。

という3コースです。ケンハモ調律の肝は単純な調律(各音0centに近づける)より全体のバランス調整の方が重要でかつ大変な作業です。これはケンハモサイトが完成してから記事にしようと思っていますが、この調整のやり方で工程=価格が変わると思っていただいて差し支えありません。

価格自体はメーカー修理に比べると高めになっています(スズキのプロモデルだと2,000円~3,000円)。これは工程から見てどうしてもこの値段にならざるを得ないという事情です。なお両手弾きコースは本当は6,000円位は余裕で掛かる工程になるのですが、これは自分の勉強や経験値のために安くしています。アドバンスコースも4,500円位掛かると思います。

基本的に調律がメインですが、レスポンス調整については全体の中のいくつかが他に比べておかしい程度なら同料金で対応します。全体のピッチを変えて欲しいとか、全体のレスポンスを変えて欲しいという依頼だとプラスいくらという感じになるでしょう。ここはもう少し検討です。

●支払方法

可能ならクレジットカードで決済できればと思っています。あとはインターネットバンキング。決済スピードは重要なのでここは死守したいです。
その他納期ですが、シーズンや混み具合にもよりますが1週間でお返しの手続きに入るようにしようと考えています。
個人のメリットは、モデルのメーカーにとらわれないことや、あまり良くないことですけど土日対応も可能だとか運用が柔軟な点にあるのかなと考えています。決済方法しかり。
生産終了品のレストアというのも出来るといいのですが、これはもう少し後の話になるでしょうか。

こんな感じでプランを練っています。実施時期はサイト開設後ですが、今月中に受付開始できればと考えています。開始の際はぜひご検討ください!

鍵盤ハーモニカにポイントマークを入れるべきか、という話

VRで演奏配信をしている時に悩むのが、HMD(顔に付けるディスプレイ)を付けているため楽器そのものが見えない、という問題です。

なのでいつも見えない状態での演奏を強いられていて今まで同様の演奏なんてもはや期待できない状態なのですが、一応の対策としてPCキーボードのホームポジションにある突起のように触れて分かるシールのようなものを貼ってみようとは考えています。

これには是非があって、是の方は「シール1つで上達するならやった方がいい」、非の方は「感覚で場所を覚えられるようにならないと上達しない」という意見が大体出てきます。ハーモニカでも似た話があります。
あと小学校の鍵盤ハーモニカ教育でも似た話を聞きますね。「シールを貼っていたらそれに頼ってドレミを覚えられない」という話もありますが、実際どうなのかは何とも分かりません。

実際にこういったポイントマークを採用している方は自分の確認できる範囲で何人かいらっしゃいます。自分が昔ヤフオクで買った中古品にもCのキーにシールが貼られていました。とにかく視認できない以上どうしようもないので導入は検討しているのですが、突起が分かり易くて演奏に支障のないシールのようなもの何かないかな?