「作るのが好き」と「形にするのが好き」の違い

最近特に思うのですが、この2つは同じことなようで明らかに違うんだなと感じています。
自分は「形にするのが好き」な方で、例えば試作をしたり設計をしたりというのは本当に大好きなのですが、いざ品物を作るとなると試作設計と同じだけのモチベーションをキープするのが難しい性分です。
対して「作るのが好き」という人はとにかく手を動かすというのが好きな人が多いようで、そういった人に品物を作ることにおいては敵わないなあと感じています。

自分が作っているドール服も、自分がどういう形にしてその型紙を作って……というのは好きで割と得意な方だと思います。どちらかというとあまり人に任せたくない部分です。それに対して設計したものを形にすることについては自分がやるより上手い人に任せて、完成品を見てやったー!!って思いたいのかなと感じています。
逆に設計は作ることの前段階で、いいから作らせろという人の話も聞きました。自分と逆なんだなと。

自分も「何か手を動かさないとこのままだとスライムになってしまう!」と思って手慰みのためにプラモデルを買ってきて作ることがあります。作るのが好きな人はどちらかというとそういう状態の人だったりするのかなーと、最近作る関係で周りを見ていて思ったのです。

話は変わって、現在製作拠点について相談しています。特に塗装や切削などの作業、バフ機やボール盤など粉塵の出る機械を我が家では運用できないのでそれらが出来る場所を探していました。あとレジンキャスト。ミシン作業などは我が家でやるのですが、そういった家では出来ない作業が出来そうになるので、これから作れるものが増えるかなと期待しています。

技術者と経営者のジレンマ

技術者というのはモノを作るにしてもプログラミングにしても基本的に拠点を構えて何らかの製作(もしくは制作)を行うわけですが、当然それをやらないと売るものが出来ません。ですが自分みたいに技術者が自営業になった時、事務作業だとか即売会だとか営業だとかでどうしても製作に手を回せない時間が増えていき、製作の時間が圧迫されます。
よく技術仕事だけやりたいなら会社で雇われて仕事する方がいいと言われますが、良し悪しは抜きにして実際の所実務に集中できるのは会社に雇用されるのが一番なんだなと改めて感じています。「自分で作って売る」というのを主業務とした場合、その他の業務で一番やらないといけない「売るもの作り」に割く時間は確かに減っています。今何かを作る作業って1日8時間は出来ていないんじゃないかな?

で、例えば技術者本人が法人成りしてある程度人も雇って会社を経営するとなると、本人は資金繰りをしたり営業に出たりで何かを作るという時間というのがゼロに近くなっていく、あるいはゼロそのものになります。技術者は技術仕事をやりたくて仕事をしてきたのに、会社が出来て自分が経営者になるとその仕事が出来なくなるというのはジレンマだよなと。

よく「俺は現場にこだわりたい」という理由で昇進せずにそのまま刑事を続ける主人公というのがありますが、本質は変わらないのかもしれません。会社内でも役職が付けば現場仕事が出来なくなっていきます。今考えても仕方のないことですけど、両立というのはどこまで出来るものなのかなというのは探っていかないといけないかなと感じています。

実は前職の会長が経営者をやりながら開発をしていました(自分が入社した時にはもう現場からは離れていましたけど)。何か方法があるのではないかとは考えている所です。

3D出力の問題点

モデリングやりまくって更新がおろそかになってしまっていますけど……。

3Dプリンターというのはそこまで万能の機械ではなく、他の方式で形を作ったプラスチックに比べていくつか問題が出てきます。

まず分かりやすいのが、積層跡。きれいな表面を出したいと思っていてもどうしても積層の問題は出てきます。なるべく綺麗に出力したいのですが、どうしても表面処理は必要になってきます。

それから大きな問題になってくるのが強度です。3Dプリントという方式は平置きにした本のようなもので、1枚1枚の紙の集合体でブロック状になっているようなものです。なのでページ1枚1枚の間にしおりを挟む方向が弱くなります。
Z方向(テーブルの高さ方向)に高くなるように、道路の電柱のように棒を立てて出力すると、その棒は何かと折れやすくなります。これが3Dプリンターの弱い所です。

なので造形も結構気を使わないといけません。これも技術ですね。あと使っている材料がひょっとしたらZ方向の出力で他の材料より強度が劣っている可能性もあるので、一度別の材料で出力したらどうなるかと考えている所です。

最近話題のハンドメイド作品とお金の話

そりゃあ誰だって高く売りたいし安く買いたいです。商いの基本です。皆ドラクエ4やったじゃん?
この「作品(というか作ったもの、「製品」と呼ぶことにします)と値段の問題」というのは定期的に出るものなのですが、仕事で作品作りをやる者の端くれとして、自分どうやってたっけというのを思い出すための備忘録として書いています。主に前職の製品設計開発業務の経験をベースにしています。

■原価

「自分がそれを製品として完成させるために必要な全ての値段の合計」です。その中には

・原材料費(買ってきた生地やパーツ、接着剤や糸なども含まれます。他にもパッケージ資材とか)
・設備工具費(各種工具だとかミシンだとか、それを作るのに必要な道具、機械全ての費用です)
・ランニングコスト(主に光熱費、3Dプリンターなど電気代がかかるものも)
・建物を借りていればその建物の値段など
・開発や製造のための人件費
・イベントに行って売るなら参加費や交通費も。版権物なら版権料も

といったものが入ってきます。原材料費=原価では無いです!
算出方法ですが、生地や糸なら総量の値段から必要な長さを割るとか、設備費だったら何個売ることでペイするか、といったことを考えて計算します。
設備費は度外視して、利益から引いていくという考え方もあります。ランニングコストは他の費用のパーセント掛けというのもありますね。

問題はこの中の人件費で、例えばその地域の最低賃金とか1時間当たり1,000円とか、いろんな決め方があります。ともかく、人件費は原価に含まれます。
ただ銀行さんで伺った所、自営業の場合事業主の場合人件費は掛からないものとして計算するとのことでした。自営の場合人件費は基本的に人を雇う場合に使うようです。

■利益

この原価を基に利益を入れて、原価+利益を販売価格とします。
これも人によって様々で、原価と同額を利益にする(利益率50%)とか、同様の品物の相場に合わせるとか(同人CDなら5曲500円とかそういうのです)色々あります。
自営の場合別の方法として、多めの金額を利益込みの原価とというものがするあるそうです。利益込みの原価を自営業なら例えば7,000円/時間というもので(特にサービス業で7,000円/時間という値段になってくるそうです)、製造だとどうなるのかなと思うことはあるのですが案としてはありだと思います。

■値段を安くする方法

これは発想としてはシンプルで、

・利益など完全無視で値段を下げる
・設備投資や簡単に作れる方法を編み出すなどの工夫をする
・原材料費や人件費を安くする

などの方法があります。

単純に値段を下げるというのは、材料費以外頂かないという趣味でやっている方はそうやっている方もいます。ですけどそれで人生舵取りしている人もいるので、「あそこはあれだけ安いのにこっちはこんなに高いの!」みたいなのはご勘弁願いたいです。

ベストなのは設備投資、アイデアによる価格下げでしょう。これなら他との差別化が出来ることはもちろん、既に販売しているものなら同額で販売して原価を下げて利益を上げることが出来ます。他にも一度に同じものをたくさん作るとスピードが上がって製造のための人件費が上がり、結果として原価は下がります。

各種費用を安くするというのは、日本あるいは世界の製造業で多くされてきたことです。大都市のメーカーが地方に工場を建てるのも中国や東南アジアなどに製造拠点を移すのも、結局は原価を下げるためです。東京の最低時給が1,000円、福井が800円となると、ざっくり計算な上運送費抜きですが福井だと東京の20%引きの人件費で同じ仕事が出来ることになります。

■会社で働きながら作っていた同人CDの例

〇材料費 合計90円/枚

・CD-R:4,000円/100枚→40円/枚
・ジャケット(A4フライヤーを加工):4,000円/100枚→40円/枚
・不織布:400円/100枚→4円/枚
・外装袋:600円/100枚→6円/枚
※盤面印刷費はいつも無視していました(生活に使っているものの流用のため)

〇組立人件費 20円/枚

100枚で2時間、時給1,000円として100枚を2,000円→20円/枚

〇開発費 43,000円

・1曲8時間、時給1,000円として8,000円→5曲で40,000円
・ジャケット作成3時間、時給1,000円として3,000円

単純な製造原価は90円+20円+(43,000円/総販売枚数)になります。
100枚なら540円/枚になりますが、500円で売っていたら赤字ですね。
実際は交通費とか参加費も含まれますのでさらに赤字が膨らみますが、仕事やりながらの同人ならこれでいいやと思っていました。実際には人件費を無視して材料費と交通費、即売会参加費をペイできればOKと考えていましたね。

先日同人音楽を縮小するという話をしたのは、生活をするのがこれではいけないと思ったからです。生き延びるためには利益を出さねばならず、現状と同じでは利益どころか赤字というのが現状です。100円/曲って改めて破綻しているんだなと感じています。

お金の計算は時々心が折れそうになりますが、おろそかにすると生活が出来なくなってしまいます。仕事をするようになると算盤弾くのも楽しいものですけど……。

■結局何を買ってもらうの?という話

ただよく言われることですが、やっぱり単純な等価交換ではなく「価値を買って頂く」ということなので、値段如何問わず気に入ったから買ってくれるというのが一番嬉しいですね。うちのこよそのこ服作り頑張ろう……。

万年筆のヘビーユーザー

もう十数年以上、万年筆を愛用しています。大体は手帳への記入とか、必要なら譜面を書くとか、そういったものに使っているのですが、自分はかなりのヘビーユーザーらしいです。
といっても高価なペンを何本も持っているとかものすごい種類のペンを持っているとかそういうことではなく、1本のペンをあり得ない位筆記するんだとか。

以前ペンクリニックで何か滑りが悪くなったなと思ったペンを看てもらった所、「万年筆のペン先がこんなにすり減るなんてあり得ない」とメーカーの方に言われたりします。

なのでインクの減りも早い方だそうで、よくインクが無くなって出先で書けない!ってことがたくさんあるのです。いつもインク量とか見れたらいいのですがそういう訳にもいかないので、もっとインクタンク容量の大きいものが欲しいなあって。

ちなみに今使っている万年筆。プラチナ万年筆プレシデントのスカイレッド、字幅はF。これも引っかかりを感じてきているので調整して欲しいです……。